慰留ハラスメント
慰留ハラスメントとは
慰留ハラスメントとは、退職の意思を示した従業員に対し、必要以上の引き留めをおこない容易に退職させないこと、あるいは退職希望者に退職を引き留めるため暴言や嫌がらせなどの言動により困惑させることです。
慰留ハラスメントの具体例
退職の意思を伝えた従業員に対して、下記のような言動は慰留ハラスメントに当たります。
「退職は許さない」と恫喝する。
「損害賠償請求するからな」と脅す。
「新人が入社するまでかかる費用を払って辞めろ」と迫る。
「ウチを辞めてもヨソじゃ通用しないぞ」と暴言を吐く。
「この業界で仕事できないようにしてやるからな」と脅迫する。
もちろん上記は一例です。社会通念上、相当な範囲を超える言動です。どうやっても退職させないという意思が伝わってくるようなものです。
慰留ハラスメントは退職時のトラブル第1位
なんと退職時のトラブル第1位というのが、この慰留ハラスメントなのです。すんなりと退職できない、辞めさせないということですね。上記のような言動をするような上司や職場だからこそ辞めたいのに、辞めるときまでハラスメントされるわけです。
そういった考えをしているかからこそ、従業員が次々退職してしまうということに気付かず、いつまでもハラスメントをしてしまうというループに陥っているんですね。
退職を引き止める理由というのも会社側の一方的な都合でしかありません。退職者の意思や気持ちなど考えていないんですね。
慰留ハラスメントをする理由
慰留ハラスメントをする理由は、ほとんどの場合、会社側に原因があります。辞められたくない事情があるわけです。会社の業務体制が整っていないがゆえに、辞められると困る⇒どうやってでも引き止める、という流れになるのです。
退職を引き止める主な理由は下記の通りです。
理由その@:常に人員不足だから
常に人手が足りてないため、辞められると困るからです。他の従業員に負担もかかりますしね。
理由そのA:求人募集しても人が来ないから
募集をかければすぐに人が面接しにやってくる人気の職場ならいいのですが、何週間も誰も来ない・・・なんて職場もあります。募集時の給料と関係があるのかもしれません。最低時給に近い時給では誰も働きたくありませんからね。
逆に高い時給の職場だと募集をかけてもすぐ面接の応募が殺到するので、人手不足に困ることはあまりありません。また、時給に関係なく時期的に8月や12月・1月なんかは募集をかけても人は集まりませんので、この時期に退職すると引き止められることが多いです。
理由そのB:新しく人を育てるには時間と手間がかかるから
新しく人が入っても多くの場合、即戦力になるわけではありません。一から育て立派な戦力になるには、業種にもよりますが数ヶ月かかることもあります。
特に事務職なんかは覚えることが多いため、独り立ちするまでに数ヶ月かかるなんてケースも珍しくありません。教える方も、特に管理者ですが「また最初から教えるのー?」なんて不満が募っていたりします。
理由そのC:社内評価が低下するから
基本的に退職者がでるということは必ずしも良いことではありません。特に同じ職場から短期間で複数人もの退職者が出るというのは、何か問題があるのではと思われてしまいます。
月の退職者数や離職率などが上長の評価につながるため、なるべく退職者を出したくないという上長の意図があります。
強引な引き止めは立派なハラスメント
通常、一般常識がある方なら、そんなに強引な引き止めはしないはずです。「退職は許さない」とか、「損害賠償請求するからな」とかなど、頭の悪い発言でしかないわけです。
退職する自由というのは、憲法で保証されている職業選択の自由の一環として誰にでもあるのです。憲法で保障されていることを否定するというのはアホの極みです。
「新人が入社するまでかかる費用を払って辞めろ」とかいうのも頭おかしいですよね。そんなものは会社が負担すべきことで、個人が気にする必要はありません。
「ウチを辞めてもヨソじゃ通用しないぞ」ってのも決まり文句ですね。お前に何が分かるの?って感じです。「この業界で仕事できないようにしてやるからな」というのは、犯罪ですね。訴えたら勝てますので、音声を証拠に残しておきましょう。
他にも、お前みたいのを拾ってやった会社に恩を感じないのかだとか、石の上にも三年っていうでしょ?普通は三年続けてから考えるものよとか、
社会的な倫理観や道徳観、長く続けるのが美徳のようなモラル感をだされてしまうと、真面目な方は心が揺らぐかもしれません。でも、そんな言葉に耳を貸してはいけません。我慢して続けるより違う環境で働く方がよっぽど自分のためになります。
辞めたい理由が抑えられないからこそ悩んでいるはずです。辞めると決めたら、もう固い決心で何を言われても意に介さず、自分の意志を貫き通してください。
サイト管理人の体験談
僕自身の体験としては、引き止められる職場はいくつもありましたが、ハラスメントされるまではありませんでした。職場の雰囲気が合わないところでは、むしろ周囲が早く退職すればというような空気すらありましたし。
人間関係が悪い、歓迎されてないだろうと思える職場では、サクッと退職できる傾向がありました(笑)。また、僕自身法律に詳しい方なので、退職時に絶対断れない理由を事前に準備してから伝えています。
学生時代の内は学業に専念したいのでと言えば、まず引き止められませんし、社会に出てからは、自分のやりたいこと(独立起業の道)があるんだよね、と入社してから周りに話をしてたりもしていました。
正社員ならこのような言動はちょっとNGかもしれませんが、派遣やバイト・パートなんかでは別に構わないと思います。勉強時間を確保したり将来のためにお金を貯めるまで、今はとりあえず派遣やバイト・パートで雇われていますという風にアピールしていました。
唯一、退職の意志を伝えたことで相手が拗ねたことがあり、飲食店で働いていたときなのですが、店長がよっぽど僕を正社員にしたかったらしく、自分のやりたい道があるので辞めますと言ったら腰から下が抜けたようにガクンと崩れてしまったのです。
強引な引き止めまではされませんでしたが、退職までの間チクチクと言われたのを覚えています。正社員への勧誘と言えば聞こえはいいかもしれませんが、その店長がジャイアンみたいな人間で、自分に忠実な手下が欲しいだけだろという意図が見え見えでしたのでキッパリ拒否しました。
僕が働いてきた職場で見聞きした慰留ハラスメントと思われる事例を言うと、退職したいと伝えたのに、何日にもわたって関係のない話をだらだらされ、退職手続きをかわされた方がいましたね。
都度、辞めますと伝えていたそうなのですが、いつまでもハッキリとした返事がなく、退職日など決められないまま、ある日を境に出勤してこなくなった従業員がいました。そのお店一番の古株で10年以上も務めていたのに、最後がそのような辞め方でとてもかわいそうでしたね。