退職代行を使う奴はクズ?
賛否両論ある退職代行の利用について
最近ようやく退職代行というのが認知され始め、徐々に世間でもニュースになったり、退職代行業者の知名度も上がってきました。そんな中、昔からずーっと言われ続けてきたことがあります。それは、
「退職代行使うなんて甘えじゃない?」
「退職代行使うとかメンタル弱すぎwww」
「軟弱すきる」
「お金が勿体ない」
などという意見です。確かに一理あるのかもしれません。でも果たして退職したい人すべてがそうなのでしょうか。そこには会社を辞めたくても辞められない、辞めさせてくれないという職場の実態があります。
すんなりと退職させてくれない会社
会社を辞めるなんて、普通は2週間〜1ヶ月前に伝えて業務の引継ぎや退職に必要な手続き(制服、社員証、保険証などの返却)をして、「はい、おしまい」っていう流れで済む話です。
ところが、退職するのに、まずは係長と面談→課長と面談→部長と面談→人事部の担当者とやり取り・・・なんて流れで、その都度、承認をもらわないと退職できないという会社もあります。
それ以前に、退職の話をすると、なんだかんだ後回しにされたり、答えを濁されたり、会社の規約で6ヶ月前に言ってもらうわないとダメだから、と言われたりする会社もあります。
そもそも退職を承諾してもらえない・退職を拒否されるなんてこともあるばかりか、ペナルティとして給与カットとか違法なことを要求してくる会社もあります。
こういったパワハラまがいな言動で退職そのものを承諾しない、退職させないという状況が退職代行が利用される理由の1つです。
必ずしもメンタルが弱い人だとは限らない
退職代行を利用する人たちは決してメンタル面が弱い人だけとは限りません。普段からパワハラ・セクハラ・いじめが横行している中で退職したくてもさせてもらえない現状があるのです。
特にブラック企業に勤めている会社員なんかは、毎日終電に乗って帰宅する生活を続けていると、拘束時間が長すぎて思考能力が弱まってしまうんですよね。
身体が疲れているときや弱っているときって正常な判断ができないものなんです。間違ったことなんて1つも言っていないのに、退職を認めてもらえない。
最初から主張が通ればブラック企業で苦労なんてしないわけで、退職するにしてもブラック企業独自のルールに従わなければいけない、なんて考えに洗脳されてしまうんですね。
まっとうな辞め方をしたいのにさせてもらえない。やれ無効だの減給するぞだの、代わりの人が入社するまで認めないだのと拒否され、結局続けなければいけない状況になってしまうのです。
退職代行を使うもう1つの理由は?
もう1つの理由は、「退職したい」なんて言いにくい、言える雰囲気じゃない場合。入社直後の試用期間中だったり、転職して中途採用で入社したものの早々と辞めたくなった場合です。
希望する職種だったけれど、いざ業務をしてみると自分に合わなかったとか、前の職場と条件が違いすぎて合わない、仕事そのものが自分に向いてないと分かってしまった場合などです。
周りの人たちはいい人たちなのに、どう考えても自分には合わない場合とか、職場の雰囲気はいいのに、給料だけが気に入らないなど。入社して3ヶ月どころか、1ヶ月も経ってないのに退職したいとなると、さすがに「辞めたい」とは言いずらいですよね。
中には、お世話になった人たちに申し訳ないと言う気持ちが先行して、どうしても退職の話を切り出せないと悩む方もいます。退職の意思を伝えるだけでも心苦しいのに、引き留められたり、強めに拒否されたら、断り切れず、そのままズルズルと働き続けることになってしまうのです。
退職代行を使うのはどんな職種の人が多いの?
利用者が多いのは、ズバリ「介護、建設、飲食関連」です。「ブラック企業」「万年人手不足」といったイメージがある業界です。雇用形態は、アルバイトやパートよりも正社員が多く利用しています。
携わっている業務量や責任が強い立場にありますからね。派遣会社と違い直で雇用されていますので、普段仕事で携わっている上司や役職者に退職の意思を伝えなくてはいけませんので、精神的負荷がぐっとかかります。
派遣社員の場合だと、間に派遣会社が入りますので、普段仕事で関わりのない派遣元会社の担当者に退職したい旨を伝えればいいので、直雇用と比べるとその点は楽ですね。
バックレた方が早い?
退職代行を使うよりもバックレた方が早いでしょ?と思う方もいると思います。ただ、これには個人的にちょっと抵抗がありました。僕の場合は、入社してすぐに辞めるのは恥ずかしかったです。
正社員じゃなくアルバイトで入った職場であっても、その職場に合わないなとは自分でも思うのですが、なにか自分に問題があったんじゃないかと思ったりするわけです。
特に一番最初に就いた仕事はそうです。社会に出たばかりなので会社よりも自分の方が悪いんじゃないのかと思うわけです。2,3度転職してみるとわかるのですが、別の会社の仕事を経験してみると「ああ、前の会社は職場の人たちの方がおかしかったんだな」と思えるのです。
が、就職1回目の会社では外の情報なんて知りませんので、自分の感覚の方がおかしいのかなと思っていました。また、バックレるという考えも一度働き始めた仕事を途中で放棄するのは、社会人として到底責任ある行動とは思えなかったのですね。
今考えれば、ちょっと真面目過ぎたのかもしれません。2〜30個も転職してみて思うのは、会社側がおかしい場合というのが多々ある、バックレて辞めるのも状況によってはありだと思えるということです。
退職代行を使われた側は?
一方、退職代行を使われた会社としては、「あ、辞めたの?」みたいな感じになります。職場によって反応は様々ですね。「え?は?意味わかんない」となることもあれば、「ふざけんなコラ」となる職場もあります。
職場というより会社の人、担当者ですね。人手不足のブラック会社なら、頭に血が上り本人出せやゴラァ!なんて勢いで代行業者に言うこともあります。
本人からの連絡じゃないと退職なんて無効だから本人から連絡させてください!などと言われることもあるようですが、そこは代行業者が「本人からは2度と電話は来ませんので」などとちゃんと伝えてくれます。
それでも退職を認めず、ちょっとしたトラブルになることもあります。そんな会社だからこそ退職代行を使ってでも辞めたいと思われるわけなのに。一方、「わかりました、私物は本人の住所に郵送しますので」といい粛々と退職手続きを進めてくれる会社もあります。
一部例外はあるにせよ、第三者が間に入ることでスムーズに話が進む場合が多いです。直雇用で雇われている労働者に対しては強気で退職拒否をするような態度を取れても、第三者にまで同じ態度をとることは少ないようです。
ちなみにですが、退職代行業者の方が対応が悪いということもあります。担当者にもよるのでしょうが、電話でのおぼつかないやりとりや、個人情報の扱いや法律が絡んでくる場合の対応など、ずさんな業者もあります。
弁護士が行っている代行業者だとそんなことはないのですが、法律に詳しくない代行業者の場合だと、会社への対応があまりよくないということもあるようです。
退職代行を使うと転職する時バレる?
通常、退職代行を使って会社を辞めてもバレたりしません。退職代行業者も守秘義務を守って業務を行いますので、代行業者から情報が漏れることはないです。
退職代行を使って辞めたという情報が洩れるとしたら、「代行業者を使われた前の会社から」というのが一番可能性が高いです。バレるというのは、転職する際の面接官に「前職を退職代行を使って辞めるのどうかと思うのですが・・・」と面接時に言われたという体験談を見たからです。
退職代行を使われた側の会社の人が、転職する会社の採用担当者に、どうやって情報を伝えたのかは不明なのですが、辞めた会社の反感や恨みを買ってしまうことがあるというのは否めません。
滅多にあることではないですが、心配なら退職代行業者に依頼するときに、「退職した後も私の転職活動に不利になるようなことはしないよう伝えておいてください」とお願いしてみましょう。
もちろん、「約束を破った場合は法的な手段を用いて対処します」と付け加えるのも忘れずに。退職代行業者には退職だけでなく、その後の転職活動もスムーズにできるよう辞める会社に対しての要望を伝えることもできます。
会社に置いてある私物の返還はもちろん、離職票の発行もきちんとしてもらうよう会社に伝えて下さいと、退職代行業者に依頼してみましょう。退職した会社に連絡するのはとっても気まずいので、退職する際にやってほしいことは全て代行業者に依頼すると良いです。
【まとめ】退職代行を使うか迷ってる人へ
退職代行を使うか迷っているくらいなら、このページをここまで読んでいないと思います。迷っているくらいなら使いましょう。退職する権利というのは、誰にでも憲法によって保障されている個人の自由です。
そして、会社側も入社してすぐに一定数の退職者が出るというのは見込んでいます。そのため、予定より多めの人員を採用しているんです(一部小規模で運営している会社は例外ですが)。
いずれにせよ、退職するあなただけに原因があるわけでもないです。会社側にだって責任はあります。たまたま職場の雰囲気が合わなかったっていう場合だってあります。
僕のように嫌な対応をされた、採用された割には歓迎されていない空気感が満載だったなんて、よくあります。お世話になった人がいるからと言って遠慮してしまいズルズルと何ヶ月もたってから辞めるよりは今すぐ退職した方がお互いの為にもいいです。
それでも決めかねている人はあと1週間だけとか、あと2,3日だけ働いてみてとか期限を決めてから結論をだすと良いでしょう。
【体験談】自分で「もう辞めます」と言う場合
僕の体験談となりますが、「もう辞めます」と言った時の状況をお話させて頂きます。退職代行なんて世の中になかったというか、認知されていなかった頃の話です。
転職歴30回もあると、本当にいろいろな会社事情が見えてきます。辞めたくなる会社ってのは、大なり小なり職場の方にも原因があります。会社を辞めることについて抵抗のある方へ参考になれば幸いです。
バイトやパートで働いていた場合
学生時代や20代の頃はバイトで働いていたときの方が多かったです。その頃は資格試験に挑戦するため、時間に融通のきくバイトの方が都合がよかったからです。
採用の面接でも○月に試験がありますので少し休みが多くなるかもしれないとか、週○日でお願いしますとかいった条件を伝えて働いていました。裏を返せば退職するときも、それを盾にしてました。
「大学や勉強に集中したいので来月いっぱいで辞めます」とか言えば、まず断られることはありません。仕方ないなという顔をされながらも退職の為の書類を書いて、最終出勤日を伝えておしまいです。
正社員で働いていた場合
正社員で働いていた場合、労働時間が自分だけブラック過ぎて入社3ヶ月で辞めることがありました。正直に理由を話すのもなんなんで「親が病気で看病が必要になって・・・」と嘘を言って辞めました。
おそらく嘘だと悟られていたと思うのですが、深く追求されることもなくその職場は辞めることができました。ちなみに、その職場は新入社員の90%が入社3ヶ月で退職するという職場でした。
飲食店(鉄板焼き)の仕事で週6時間、毎日13時間立ちっぱなし、休憩なし、食事なしで働いていたら身が持ちませんよね。今考えてもブラック過ぎる・・・。
派遣社員で働いていた場合
派遣の場合は派遣元に辞めたいですと言えば済むので、ちょっとは気が楽でした。「家庭の事情により派遣ではなく正社員(の給料)で働かなければいけなくなりましたので転職します」と言って辞めました。
あるいは、「親が職を変えたばかりで新しい職になじめず家に入る収入が減少したため、僕がガッツリ稼がなくてはならなくなったので転職します」と言って辞めたこともあります。
これは実際に違う職場で辞めていった人の退職理由を真似て実践してみたものです。もちろん僕にはそんな家の事情なんてありません。家の都合・家庭の事情の話をすると、深く追求されることはまずないです。
平和に辞めたい場合には、ある程度の嘘も必要だと思います。むしろちゃんとした理由を話さないと辞めさせてくれない職場もあります。あの人が嫌だから、人間関係が嫌だからなどと正直に話して変に引き留められたりすると、話がこじれたりすることがあります。
辞めるときは「絶対に辞める」という決意で話をしていたので、気が変わることはありませんでした。むしろそれくらいの覚悟でないと辞められなかったかもしれません。
正直に理由を話して辞めた場合
あまり良くない状況で正直に理由を話して辞めたこともあります。良くない状況というのは僕がその職場になじめず、うまく仕事ができなかった場合です。主に派遣社員で働いてきたときなんですが、
「今日いっぱいでもう辞めさせて下さい」
「○○で嫌な思いをしました、もう2度と行きたくありません」
「(ヘルプとして派遣されたのに)歓迎されていない態度を取られましたので、もう行きません」
などと言って、そのまま退職したり、派遣先を変えてもらいました。実際に働いた職場じゃなくて派遣元の会社に言えばいいだけなので、言いやすかったってのもあります。
職場になじめなかったり、人間関係が嫌で辞めたというのが大半なので、正直に話しました。今思うと、派遣に限らず正社員やバイトでも正直に理由を話して、何もかもぶちまけて辞めれば良かったかもしれません。