ハローワークの職業訓練
職業訓練とは
職業訓練(公共職業訓練)は失業保険を受給中の方を対象とした制度で、再就職を目指すのに必要な資格に関する講座の授業を学べる制度です。「職業訓練校」といって指定された専門学校や資格予備校などの学校で開催されており、好きな科目を選択して授業を受けることができます。
例えば、ネイルが好き、再就職先はネイルサロンで働きたいと思ったら、ネイリスト養成講座というものがあります。受講して資格も取れば再就職するのにとても有利ですよね。資格をあるのとないのとでは転職活動にも大きく差が出てきますので、是非有効活用したいところです。
必要な手続はハローワークに行けば説明を受けられます。地域ごとに開催されている講座も異なってくるのでぜひチェックしてみましょう。また、子供がいる場合は保育園・こども園などに預けながら職業訓練を受けられるところもあります。
職業能力開発校
ちなみに、似たような制度に求職者支援訓練というものもあります。職業訓練とは違い、雇用保険受給の資格のない方が対象です。フリーターやパート等で雇用保険に加入していなかった方や、失業保険の受給が終了した方などが受けられる制度です。
職業訓練と同様に受講料は無料で、訓練期間は大体3ヶ月〜6ヶ月と職業訓練よりは短めとなっています。また、条件を満たせば職業訓練受講給付金の支給もされます。
失業保険を貰いながら受講できる
普通、何かの資格を取得するには専門学校や資格予備校など学校や塾などで授業料を払って授業を受ける必要がありますが、職業訓練は無料で受講することができます。しかも失業保険を受けながらです。
授業料を払うどころか、お金をもらいながら講座を受講できて資格も取得できるという、とってもお得な制度なんです。しかも失業手当の給付期間内に職業訓練が終わらなければ、失業手当の受給期間を延長してもらうこともできるんです。
失業手当の延長も可能
ハローワークでおおっぴらに謳っているわけではないですが、なんと失業保険を延長することができます。例えば失業手当の給付期間が6ヶ月で、職業訓練の受講期間が3ヶ月、給付期間の6ヶ月目に職業訓練が開始されればプラス2ヶ月間失業保険がもらえるんです。
意外と知らない人が多く、実際に僕が受講していた時も「実は失業保険が延長できるって知らなかったんだよね〜」という人が何人もいました。
「給付期間に職業訓練が終わらなかった場合」に延長することができるとしていますので、特別に必要な手続きやスキルも不要です。失業手当は国(雇用保険)が出しているわけなので、確かにハローワークもおおっぴらには言えませんね。
資格も取得できる
講座を受講した後は資格試験に挑戦することもできます。そのために必要な職業訓練なわけです。僕もビジネスパソコン検定のワード2級とエクセル3級をとりました。勧められるのは、さほど難しくはない3級くらいの資格になると思います。
ちなみに、ここで身につけたスキルは再就職した後でもよく活用しています。特にエクセルは多くの職場で使っていることが多いですし、知ってる裏技なんかあると職場で重宝されます。
受講しながら就職活動もできる
当然とえいば当然ですが、職業訓練の期間中も就職活動ができます。事前に「その日会社の面接を受けるので授業休みます」と申請すれば授業を休んで転職先の面接に行くこともできます。
面接に行く際には、面接に来たことを証明する書類を面接官に記入してもらいます。署名と捺印くらいの簡単なものだったと思います。ちなみに僕が通っていた訓練校では、就職活動で授業を休んだ次の日に報告会というのがありました。
どの会社の面接を受けて、どのような質問があったのかだとか、面接の雰囲気はどんな感じだったのかなど、その日の授業が始まる前にクラス全員の前で発表会というのがありました。
受講できる科目
受講できる科目については、地域ごとに違いがありますので、ハローワークにいって確認してみて下さい。人気のある科目だと選抜試験を受けることになる場合もあります。
特にパソコンスキルを学べる事務系が人気ですね。選抜試験の内容は中学校で学ぶ範囲の学習能力があれば大丈夫です。後日、合格結果通知が届き説明会を受けることになります。主に訓練できる科目一覧をあげておきます。
パソコン系
OA事務基礎科、OA事務基礎科、パソコン基礎科、ビジネス・パソコンスキル養成基礎科、パソコン事務基礎科、パソコン簿記科、パソコンスキル習得基礎科、OA事務実践科
事務系
経理・財務スタッフ養成科、ファイナンシャルプランナー養成科、法務スタッフ養成科、簿記経理科、事務経理科、不動産ビジネス科、人事・労務スタッフ養成科、OA経理・総務実務科、不動産ビジネススキル養成科、簿記・電子会計科、宅建業・不動産ビジネススキル養成科、貿易実務ビジネス科、経理実務養成科、不動産実務者養成科、経理&オフィス事務科、営業実務科、パソコン会計科、販売員養成科、グローバル会計人養成科、会計ビジネス科、グローバルビジネス科
WEBデザイン、WEBクリエイター系
Webクリエイター科、WEBデザイナー養成科、3DCG・Webデザイナー養成科、Webサイト制作科、Webサイト開発科、Webエンジニア養成科、Webサイト管理者養成科、Webサイト構築技術者養成科、ゼロからはじめるWebマスター養成科、Webクリエイティブデザイン科、デザイナー養成科
アプリ開発、プログラミング系
Webプログラマー養成科、Webプログラミング科、サーバ連携Androidアプリ開発科、Java&スマートフォンアプリ開発科、CG・Webアプリクリエイター養成科、Androidアプリ開発科、ゲームクリエーター養成科、Androidアプリクリエーター養成科
サーバー、ネットワーク構築系
ネットワーク構築科、サーバー&ネットワーク構築科
デザイン系
ビジュアルデザイン、プロダクトデザイン、クラフトデザイン、アパレルデザイン、インテリアデザイン、DTPデザイン
機械系
機械オペレーター科、機械加工(切削・研削系)科、成形加工(板金・溶接系)科、生産システム科、機械制御科、CADオペレータ科
電気・電子系
電気工学科、電子工学科、制御工学、光・音響・画像処理科、計算機支援技術科
建築・土木系
建築施工科、建築構造・建築計画科、造園科、グリーンエクステリア科
ビルメンテナンス系
電気工事科、ビルクリーニング科、ビルメンテナンス科、ビル管理技術・業務スタッフ養成科、住宅リフォーム科、ビルメンテナンス科
医療・保育・介護系
医療事務科、パソコン利用事務護事務科、パソコン医療事務科、保育士養成科、ホームヘルパー養成科、介護職員基礎研修科、介護福祉サービス科、介護職員養成科、介護・福祉サービス科
美容系
ジュエリーデザイン科、ネイリスト養成科、ネイリスト・テクニカルマスター養成科、アロマセラピスト養成科、オイルトリートメントセラピスト科、ハーブセラピスト科
その他
ウェディングプランナー養成科、日本語教師養成科、キャリアサポーター養成科、フードコーディネーター養成科、旅行・観光・ホテルビジネス科、キャリアサポーター養成科 、フラワーデザイナー、コーディネーター
体験談/パソコンスキル科目
僕が受講したのはパソコンスキルが学べる講座です。再就職するなら事務系に転職したかったのもありますが、主な理由はちょっと楽をしたかったからです。当時すでにタイピングはもちろん、ワードやエクセルの知識はある程度ありました。
未知の分野にゼロから出発するためのとっかかりとして職業訓練をうける人もいますが、僕の場合はすでにある程度分かっている分野で授業を楽に進めるために選んだという、やや不純(?)な動機からだったのです。
実際に講座を受講してみるとブラインドタッチもできない人が多いなか、普通にブラインドタッチできる状況でしたので、パソコンに疎い人が多かったのが事実です。毎日タイピングの練習があるのですが、僕のタイピングの音を聞きつけて、コツを教えて下さいとよく言われていましたね。
授業は10時から16時までで、昼休憩は1時間くらい。一番最初に自己紹介がありました。毎日朝と帰りのホームルームがあって、グループ活動もありましたね。学校みたいでした。この辺は受講する科目や学校の運営側次第だと思います。
同じ時期に職業訓練を受けた前職の同僚から聞いた話ですが(会社の倒産により同じタイミングで失業した前職の同僚です)、別の講座ではホームルームだとかグループ活動なんてなかったよと言っていました。
最初の自己紹介とかグループ活動があったおかげで話しかけるきっかけができたり、仲のよい友達ができたり、カップルができたり、講座が終わってもつきあいがあったりその後も続く仲になった人たちもいます。
3ヶ月の期間でしたが、週5日間ゆったりとしたペースで進みながら、途中、就職活動のために面接を受けつつ、同時にビジネスパソコン検定ワード2級、エクセル3級も取得し充実した日々を送ることができ、いい思い出ができました。
最初は自己紹介面倒くせーとか、グループ活動なんて嫌だーとか思ってましたが、これがあったおかげで初対面の人でも、共通の職歴があったことで気安く声をかけてもらったり、仲良くなれたと思います。
よその学校では生徒同士のトラブルもあったりするのだそうですが、僕が受けたところはそんなこともなく期間途中、無事に転職先が見つかった人もいましたし、最後はみんなで飲み会を開いて楽しく終えられました。