会社都合退職だと失業保険が増える?
会社都合退職とは?
会社都合による退職とは会社側からの指示で退職した場合のことです。リストラ、解雇(クビ)と言えばわかりやすいですかね。他に会社が倒産しただとか、上司から退職勧奨を受けたとかいう場合もあります。一部特定受給資格者とも呼ばれます。
自己都合退職とは?
自己都合退職というのは、自分の都合によって会社を辞めた場合です。転職だとか、親の介護だとか、人間関係が嫌だから辞めたとか。バックレた場合ももちろんそうです。多くの人は退職する場合、大体が自己都合退職になるのではないでしょうか。
会社都合退職の方が長く失業手当がもらえる
自己都合と会社都合で一番違うのが、失業保険(失業手当)のもらえるタイミングともらえる期間の長さ、それに伴う受給額です。結論から言いますと、会社都合退職の方が早くもらえますし、もらえる期間も自己都合退職より長いです。
もらえる期間が長い分、当然もらえる金額も多いです。なので、できるだけ会社都合で退職するのが理想と言えます。あくまで退職して失業手当をもらうというのが前提となります。
すぐに転職をする予定があるとか、すでに転職先が決まっているという人は受給資格がありませんのでご注意下さいね。
会社都合退職で失業手当がもらえる期間は?
会社都合退職の場合、失業保険(失業手当)がもらえる期間は90日〜270日です。何年働いて辞めるか(被保険者だった期間が何年か)によってもらえる期間が決まってます。
会社都合退職の場合
自己都合退職の場合は90日から120日間です。表をみれば分かると思いますが、会社都合と比べて受給期間が少ないですよね。
自己都合退職の場合
会社都合退職は2ヶ月間の給付制限がない!
会社都合退職の場合だと、失業手当をもらえるタイミングが早いです。自己都合・会社都合どちらも退職してから7日間の待機期間があります。
会社都合の場合、待機期間経過後にすぐもらえるのに対して、自己都合退職の場合だと、さらにそこから2ヶ月間後にもらえることになります。
2ヶ月間収入が途絶えてももらえるなら良いと考えるかどうかは個人の自由です。実家暮らしで働いていた人や、貯金がそれなりにある人は良いでしょう。
ただ、お金に余裕のない人は2ヶ月間収入が途絶えるのを我慢しなければいけません。以前はこの給付制限の期間が3ヶ月でした。なので、自己都合退職で失業手当をもらおうとする人は、そう多くはなかったかと思います。
お金をもらえると言っても3ヶ月間無収入の後に、だからです。ちなみに、その間アルバイトなどしても良いのですが、一定の収入を超えると失業保険の受給資格がなくなります。
要するに失業手当を受けるまでに働くことはできるけども、少額しか稼げないです。僕も日雇いで4日間程度の短期間の仕事をしていました。
会社都合だと退職金も違うの?
退職金というのは、会社を退職するにあたって会社から支給される金額です。定年退職のときにもらえるイメージが強いですが、定年以前に退職してももらえる事があります。
そもそも退職金というのが、企業の規定により支給されるものなので正確にはその会社の規定ごとに支給条件に差があります。ここでは詳しい説明は省略しますが、一般的に退職金を用意している会社の場合、自己都合退職よりも会社都合退職の方が金額は大きいです。
それに上乗せして、大卒と高卒、退職時の年齢や役職、そして勤続年数などにより会社の希望(大企業か中小企業)で金額がとっても違います。会社によって退職金の制度は違いますが、通常は自己都合よりも会社都合退職の方が退職金も高いです。
自己都合退職でも会社都合にできる?
会社都合退職となる条件についてですが、退職理由の例としては、雇解(クビ)、退職勧奨を受けての退職(退職勧奨合意書がある場合など)、リストラ・倒産などです
あまり知られていないのが、一見すると自己都合?と思われるものの会社都合による退職となる場合です。上記の例は分かりやすい例ですが、他にも下記の事例が当てはまります。
労働契約締結時に明示されたものと違っていた場合
勤務場所や勤務時間・賃金・職種など採用時の面接や募集時の条件と異なった場合です。例えば通勤時間に2時間くらいかかり通勤費用や時間が負担となって辞めた場合です。
賃金が減らされ又は未払いが続いた場合
賃金が減らされた、未払いがあったなどの場合です。あるいは約束されていた昇給がなかった場合もこれに当たる可能性があります。
職場の上司・同僚等からいじめや嫌がらせがあった場合
パワハラやセクハラ・モラハラなんかが当てはまります。悪質な会社ほど自己都合退職扱いにしたがります。
労働契約が更新されず離職した場合
期間の定めのある労働契約が更新され3年以上引き続き雇用されたときや、期間の定めのある労働契約を締結した際に当該契約が更新されることが明示されたときに、当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した場合です。
要するに、今までずっと労働契約が更新されてきたのに、突然更新されなかった場合です。
また下記に該当する場合も特定理由離職者として「会社都合のよる退職」扱いになる場合があります。詳しくはハローワークに確認してみましょう。
(1)体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
(2)妊娠、出産、育児等により離職し、受給期間延長措置を受けた者
(3)父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
(4)配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
(5)次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
結婚に伴う住所の変更
育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
事業所の通勤困難な地への移転
自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
コロナ退職は自己都合でも失業手当が優遇される
新型コロナウイルスにより失業した人について、下記の条件に該当する人は失業給付をもらえる期間が60日(一部30日)に延長されます。
積極的に求職活動をしている人のうち、1〜3のいずれかの条件を満たし、かつすでに失業手当をもらっている人です。または、これからもらう人で、所定の受給終了日が、令和2年6月12日以降にあたる人です。
1. 令和2年4月7日以前(緊急事態宣言前)に離職した人(離職理由は問わない)
2. 令和2年4月8日〜5月25日に離職した人(特定受給資格者※1、特定理由離職者※2)
3. 令和2年5月26日以降に、新型コロナウイルス感染症の影響により離職を余儀なくされた特定受給資格者※1、特定理由離職者※2
※1)特定受給資格者…倒産、解雇などの理由により離職するしかなかった人
※2)特定理由離職者…@労働期間が契約により定められていて、更新希望をしたのにも関わらず更新されず離職した人 A転居、婚姻などによる自己都合で離職した人
※全国一律で判断されます。就職困難者は当初から所定給付日数が長いため対象となりません。
会社側は会社都合退職にしたくない?
従業員を解雇にする場合、通常なら会社都合退職となるはずですが、会社側としては会社都合による退職にせず自己都合退職にさせる場合があります。
僕の知り合いで、会社としては解雇できないから辞表書いてねと言われた友人がいます。普通に違法かと思うんですがね・・・。では、なぜ会社都合による退職にしたくないのでしょうか。それには以下のような会社側の事情やデメリットがあるからです。
解雇予告手当を払いたくない
通常、解雇をする場合は1ヶ月前に通達しなければいけません。ただ、会社としてはそんなものを払う前にすぐにでも解雇したいわけです。解雇ではなく自己都合で辞めたという風にしておけば解雇予告手当を払う必要がありませんので、自己都合退職で辞めて欲しいのです。
国から助成金を受けたいから
国から助成金を受けるには、過去1年以内に解雇が無い事というような条件が付けられたりすることがあります。解雇してしまうと助成金を受けられなくなってしまう可能性がでてくるんですね。
ハロワに提出する離職票の離職理由を見れば、会社都合か自己都合かは簡単に確認できますので、隠すことはできません。
解雇を巡って従業員との労働トラブルの防止のため
不当解雇として訴訟沙汰になると後々面倒なので(裁判費用や訴訟にかかる手間暇など)、あくまで自発的に辞めました、としたいわけです。
企業イメージ低下の防止の為
あまりに解雇し過ぎると、危ない会社だとかの噂やイメージダウンがあり、銀行からの融資も難しくなる場合があります。取引先に警戒されれば、業務にも支障がでてくることになりかねないからです。
ハローワークや学校との関係維持のため
あまりに解雇が多い企業となると就職先として紹介されにくくなります。学校からも「この企業はちょっと危険だ」などと警戒されて、新卒の良い人材を回してもらえなくなります。
会社都合退職にしたかったらハロワに確認を!
会社都合で退職したと思ったいたのに、離職票をみると自己都合退職になっていたなんてことが有ります。前述したように、会社には解雇としたくない、会社都合にしたくない事情というものがあります。
何も知らずに、そのままハローワークに行って離職票通りに自己都合退職ですねと言われたり、自分で勝手に自己都合退職だよなと思っていると損をします。本当にこれって自己都合退職なの?と疑う心を持ちましょう。
離職票には2種類あります(離職票1と2)。離職票2に記載されている「(7)離職理由」には、会社が把握している離職理由が記載されています。
自己都合や契約期間満了、解雇などですね。右側の「離職区分」の欄は、ハロワにより判定された離職理由コードになります。具体的なコードの意味は下記の通りです。
ハローワークに行った際に、会社が記載した離職理由と違うことを書くことで異議ありを表明することができます。また、自己都合と記入があっても、病気や介護など、やむを得ない事情により離職したことを示すときも同じです。
会社の記載内容と事実が違う場合、ハロワで協議が行われ会社にも調査の連絡がいったりします。そこで自己都合から会社都合による退職となる可能性が出てきます。