ベテランが辞める会社は危険?
ベテランが辞める会社とは
世の中にはベテラン社員がこぞって辞めていく会社というのがあります。会社によって勤続何年くらいの人をベテランというのか定義はまちまちですが、ここでは仮に5、6年以上は中堅社員、10年以上勤めている社員をベテラン社員としましょう。
転職歴30回以上もある僕にも10年以上勤めた会社というのがあります。10年以上勤めるというのは会社創業時から働いているとか、オープニングから働いているという方も中にはいるでしょう。
10年間ずっと同じ会社で働いていれば、おそらくほぼ定年まで勤められると思います。派遣で入社して途中で正社員になったりする方だとか、派遣のままでも「期限のない契約」として雇用が継続されている場合もあると思います。
途中で転勤になったり、部署異動なども経験したりするでしょうが、多くは昇格して何らかの役職に就いていたり、バイトやパートで働いていても自分より長く働いている人は、そう多くはないはず。
仕事上でも、周囲から頼りにされたり一目置かれている存在です。そんなベテラン社員が自分の意思で会社を去るとなると、これはちょっとした一大事です。
ベテランが辞めていくとどうなる?
ベテラン社員が辞めてしまうとなると、当然のごとく業務が滞る場合が考えられます。何らかの役職や責任者になってれば、当然その穴埋めをするのに一苦労するでしょう。
会社側としては辞められると「痛い」わけです。代わりになる人が入社してきても、同じレベルで業務をこなすようになるまでには、相当な時間がかかります。
例えばラーメン屋で働いていた場合(僕の例ですが)。裏でスープや具材の仕込みをしながら、繁忙の時間帯にはホールにでて注文をとったりラーメンを運んだりしていた場合。
さらにはチャーハンを作ったりラーメンのトッピングを手伝ったり、レジ打ちまでやっていた場合。ここまで一人三役、四役の業務をこなしていた人が突然辞めるとなると、おいおいちょっと待ってくれよとなるわけです。
通常スープの味を覚えるだけでも3ヶ月はかかるのに、仕込みやホール業務、チャーハンまで作ってるとなると、代わりの人が同じように仕事を覚えるのに3ヶ月〜6ヶ月はかかるわけです。
その間、当然周りの人たちにしわ寄せが行きます。ベテラン従業員が普通にこなしていた仕事ができなくなってしまった分、他の人たちがフォローしなくてはいけないので、仕事が多くなったり残業が増えてしまいます。
もっとも、アルバイトを多く雇っている会社の場合、アルバイト従業員がいつ辞めてもいいよう最初から限られた仕事しか覚えさせない場合が多いです。
調理だけ、ホール業務だけ、仕込みだけなどという風に業務を分けて、別の従業員にそれぞれ仕事を分担させるわけです。万が一、急に辞められても最小限のダメージしか負わなくてすみます。代わりなんていくらでもいるよとも言えるわけです。
でも、ベテラン従業員の場合は、勤続年数が長いのであれもこれもと何でもすべてできる状態になっていることが多いので、辞めてしまうと会社側にとっては大ダメージなわけです。
ベテランが辞める理由
何年も働いていたベテランが突然辞める理由。それはほとんどの場合「会社を見限ったから」です。例えば10年も働いていれば、通常は、その後20年も30年も飽きることなく働き続けられるはずです。
仕事も慣れており、周りにいる人たちも長い付き合いになっているので、上手に仕事を回して行けるようになっているものです。そんな中で逆に転職してしまうと、別の会社でまた1から仕事を覚えなければならないので、苦労するのは目に見えてわかるわけです。
にもかかわらず、それでも退職した理由。それはやはり会社側に原因があるからとみて間違いありません。
「この先ずっと勤めてても報われない」
「もっと自分を評価してくれる会社があるはず」
「この会社に未来はないない」
など何かしらの不満があるはずです。先の飲食店の例でいえば、なんでも仕事をこなせる割にいつまでも給料が上がらない、人より多くの仕事を覚えているが故に、仕事量が激化して待遇が良くならないなど。
10年も働き続けながら、別の会社へ転職して1からやり直さなければいけないと思うほど「会社に対しての不満があった」ということになります。
僕の場合は、店内にあるほぼすべての業務をこなしていたので、周りから頼りにされることが多かったです。ただ、そのせいで自分だけ休憩が取れなかったりしました。
裏でスープを作ったり、具材の仕込みをしてたのに、従業員の誰かが欠勤すると厨房にでて調理を手伝ったりホールにでてラーメンを運んでいましたね。
一人三役以上は毎日こなしていたので、僕だけ休憩時間がなかったという状況でした。9時〜18時シフトで仕事が終わるのが19時30分以降、休日も希望通りには取らせてもらえませんでした。
ちなみに社員ではなく、同じお店に2,30人いるアルバイトの1人だったころの話です。それでもまだ店長から評価してもらえれば耐えられたのですが、パワハラ・モラハラがひどく、店長の発注ミスでも起こられたり、「仕事ができない」など人前で怒鳴りつけられてました。
徐々に精神が病んでいき最終的には退職したのですが、今でも「こんなところで働きたくない」「もっと評価される職場があるはずだ」と思って辞めたのを今でも覚えいています。
余談ですが、退職してから半年後に後任者から仕事が回らないと相談の連絡がきたり、1年後には店長から「戻ってきてくれないか」とお願いされましたが、「ざまぁ」と思って無視しました。
ベテランが辞める会社の特徴
ベテランが辞める会社というのは、単純に労働環境が整っていない会社です。ベテランが辞める辞めない以前に、そもそもの離職率の高い職場です。例えば、
何年も給料があがらない
評価制度がおかしい
おかしな人事異動がある
社長がワンマン経営している
パワハラ・セクハラ・モラハラが横行している
など。ベテランじゃなくても辞めていく人が後を絶えないのに、ついにはベテランまで愛想をつかして辞めていった。または、上記のような事がなくても「先の将来が見えない」場合も、見切りをつけて退職してしまいます。
会社としての成長がない会社です。「あぁ、10年経っても同じこと繰り返してるだけだな・・・」とか思うと、辞めたくなるわけです。いずれにせよ、良い意味での退職ではないことはほぼ間違いないです。
ちなみに派遣社員の場合、何年たっても正社員になれないと、辞めてしまう人がでます。当然といえば当然の話ですが、非正規の派遣社員が雇用の安定を求めて正社員になる、正社員をめざすのは自然の流れです。
なので、正社員になれないと分かれば会社を去っていくのが当然の結末。正社員登用制度ありと謳っておきながら、正社員にするわけでもなく、かといって何年も給料をあげずに待遇も一向に良くならなければ、見限られてしまうのは仕方ありませんね。
退職の連鎖が起こる未来とは?
ベテラン社員がやっていた仕事を、代わりの人がうまく引き継げられればいいのですが、代わりに入ってきた人でもその業務がこなせないと仕事が一気に停滞してしまうリスクがあります。
最悪の場合、会社の経営が傾く危険もあります。決して大げさな話ではなく、たった一人の従業員が辞めてしまっただけで倒産に追い込まれたという話はあります。
例えば営業職の場合、そのベテラン社員が抱えていたお客さんが、ベテラン社員の退職をきっかけに会社との契約を打ち切ったり、ベテラン社員が転職した後の会社に移ったりしてしまうという問題が起こります。
他にも、塾講師や管理栄養士など、その人になついているお客さんだとか、その人が深く携わっていた業務があって、その人だけしか知らない情報があったり、その人だけにしかできない仕事があるとトラブルになります。
そして、そのしわ寄せはすべて残っている従業員でカバーしなければいけません。結果、周りの人たちに仕事がたくさん押し付けられて疲弊してしまい、後を追うように一人また一人と会社を去っていくのです。
このまま会社に残る?退職する?
優秀な社員がすぐに退職して別の会社に転職してしまうならまだしも、ベテラン社員が何人も退職するとなると、まず間違いなく会社の方に問題があります。
その時あなたは、「自分はこの先どうすべきか」と自身に問いかけると思います。あなたはどうしますか?僕の経験から言わせてもらいますと、転職を視野に入れた方が良いです。
ベテラン社員の退職に便乗して私も辞めよっと即断してしまうのは早計ですが、その会社に待ち構えている未来は、決して明るくはないです。ただ、すぐに退職を決める必要はありません。
あなたとベテラン社員だと社歴はもちろん、社内での立場や置かれている状況、年齢も違います。会社に対して抱いている不満や状況が改善するのかどうか、きちんと見極めてから辞めても遅くはないです。様子を見つつも転職活動を始めてみましょう。
【まとめ】ベテランが辞めていく会社
ベテラン社員が辞めていく会社のは、
・ベテラン社員が会社を見限って辞めるパターンがほとんどである。
・ベテラン社員の上にいる役職者や経営陣・社長に問題がある場合が多い。
・ベテラン社員が抜けた分の穴埋めは難しく、業務が停滞する場合がある。
・その分周りの人たちの負担が重なり、平常時より多い業務量となったり残業も多くなる。
【結論】
急ぐ必要はないが、様子を見なるがら転職を考えるべき。